まなたろぶろぐ

福岡大学卒 社会人2年目

消費者行動論

 こんにちは。

 

塔村です。

 

今回は金曜3限太宰先生の消費者行動論について書きます。友達と一緒になんとなく履修しましたが、初回から先生の熱量と面白い内容に惹かれ、今や私の中で1番好きな講義です。とってない人は是非とってほしい!完結型だし忍び込んで1回聞くだけでもオススメです!(ゴリ押し笑)

 

前回のブログで予告した、プロスペクト理論を掘り下げていこうと思います。実は1番好きな講義というだけあって前々からブログに書きたかったのですが、毎回濃い内容で、私の力では先生のように面白さを伝えるの無理!なんて思っていました。しかし「株の学校」でプロスペクト理論が出てきたとき、なんか聞いたことあるなと思い、プリントを見返してみたら講義で触れていたので、通ずるものがあるならこれはもう書くしかない!ってなりました。

 

 

プロスペクト理論

不確実性下における意思決定モデルのひとつ。選択の結果得られる利益もしくは被る損害および、それら確率が既知の状況下において、人がどのような選択をするか記述するモデルである。ーWikipedia引用

 

って言われてもピンとこないですよね。具体例をあげて説明したほうが分かりやすいと思うので試しに以下の問いに答えてみてください。

 

〈質問1〉次のふたつの選択肢のうち、どちらを選択しますか?

A、8割の確率で4千円をもらえる

B、確実に3千円をもらえる

〈質問2〉次の賭けに参加したいと思いますか?

『50%の確率で1万円をもらえるが、50%の確率で1万円を失う』

A、参加したい

B、参加したくない

〈質問3〉次の賭けに参加したいと思いますか?

『50%で2万5千円得するが、50%で1万5千円損する』

A、参加したい

B、参加したくない

〈質問4〉次の賭けに参加したいと思いますか?

『50%で3万5千円得するが、50%で1万5千円損する』

A、参加したい

B、参加したくない

 

 

講義中、アナライザーを使って実際に学生が答えた結果がこちら☟

〈質問1〉次のふたつの選択肢のうち、どちらを選択しますか?

A、8割の確率で4千円をもらえる28%

B、確実に3千円をもらえる72%

〈質問2〉次の賭けに参加したいと思いますか?

『50%の確率で1万円をもらえるが、50%の確率で1万円を失う』

A、参加したい→17%

B、参加したくない→83%

〈質問3〉次の賭けに参加したいと思いますか?

『50%で2万5千円得するが、50%で1万5千円損する』

A、参加したい→29%

B、参加したくない→71%

〈質問4〉次の賭けに参加したいと思いますか?

『50%で3万5千円得するが、50%で1万5千円損する』

A、参加したい→61%

B、参加したくない→39%

 

どうでしたか?こういった類の問題をやったことある人はたくさんいると思います。そう、これこそプロスペクト理論です。ちなみに私はこの結果通り、4つとも多いほうを選択しました。

 

質問1は金額は1000円低くても確実にもらえることから72%の学生がBを選択しました。この結果から、人は利益が手に入らないリスクを避けたいことが読み取れます。しかし、実は経済学的に捉えるとA:4,000×0.8=3,200となり、Bと比べ期待値が200円高のです。

 

質問2は二分の一の確率ということで83%の学生がBを選択しました。質問3は得する方が1万円高いですが、それでもなお71%の学生がBを選択しました。質問4で損得に2万円の差が生じたところでやっと賭けに参加したいと思うようになり61%の学生がAを選択しました。この結果から、単純に解釈すると損失が引き起こす嘆きは、同じ金額を得たときに感じる喜びの2倍以上であるといえます。人は同じ金額であっても、得よりも損のほうを大きく感じるのです。

 

このことを価格戦略に応用します。また以下の問いに答えてみてください。

●あるメーカーAは、通常価格1000円とした新製品を発売するとき、次の2つの価格戦略(シナリオ)を考慮しました。どちらの価格戦略のほうが「結果的(長期的)に」うまくいくでしょうか? 

【戦略1】通常価格1000円のままで市場導入し、そのままの価格を維持する

【戦略2】発売時に値段を下げて800円とし、しばらくしてから通常価格の1000円に戻す 

 

正解は、というか通常は、長期的にみると戦略1の方が売れ行きが良いとされます。なぜならプロスペクト理論が働くからです。200円得したときよりも、値段を上げて200円損したときの”損した感”の方が大きいというわけです。

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戦略2をもう少し考えてみましょう。

●戦略2において、以下のような2つのパターンが考えられる場合、どちらの価格戦略の方がうまくいくでしょうか?

【戦略2-1】800円から200円一度に値上げして1000円とする(先ほどと同様)

【戦略2-2】800円から100円上げて一度900円として、しばらくしてから再度100円上げて1000円とする

 

正解は、というか一般的には、戦略2-2の方が売れ行きが良いとされます。ずばり「参照価格」(値頃感)の形成がカギとなります。価格がそんなに離れていなければ、その人が頭の中に抱いていた価格情報「内的参照価格」と、提示価格との”同化”が起こるのです。800円から200円高くして1000円にした場合の価格と、100円ずつ段階を踏んで800円から900円、900円から1000円にした場合の価格とでは、同じ1000円でも圧倒的に後者のほうが”同化”が起こりやすいです。

 

ここでは同化対比理論順応水準理論が関係しています。一見難しそうに聞こえるこの理論をおバカな私でも理解しやすいような具体例をあげると、普段わたしたちが支払っているアレです。そう、消費税。消費税は1989年(平成元年)に導入され、当時は3%でした。その後1997年に2%引き上げられ、5%になりました。そして2014年に3%引き上げられ、8%に。今まで百均で105円だったのが、これから108円払うことになるやーん。と当時は思っていましたが、改正されてから半年も経たないうちに慣れてしまいました。今では消費税8%に対し特に何も感じませんし、いつの間にかそれが当たり前になっています。きっとみなさんもそうだと思います。

 

[まとめ]

プロスペクト理論を用いた損得(価格)の感じ方

利益の場合は「確実性を重視」するが、損失の場合は「不確実性を重視」する。

⇒損の方を強く感じる。

・人は価格に慣れる

人は刺激に順応する。価格の変動にも順応する。よって値上げをするときは「段階的」、「徐々に」行う方が損の感情が少なくなる。

 

普段、消費者として何気なくとっている行動を客観的にみると、無意識に思わずやってしまっていることとかが見えてくるからこの講義は気づきが多いです。お店側にはこんな意図があったんだと学んだにも関わらずその戦略にやられる私は学習能力ないんですけどね!笑 でもそれくらい自然と身についていて、見事に促されているということです。こうして考えるとやっぱり”観察”ってすごく大切だなと思いました。先生がこうして講義で教えてくれたから理解できたものの、もしアンケートを取ったり質問されたりしても、自分の行動に対して明確に答えることが出来ないと思います。ついついやってしまうことを把握するって簡単そうで難しい。でもそれがかなり重要。

 

消費者行動論は前期のみだからもうすぐ終わってしまうということにさっき気づきました。泣 残り少ない講義も楽しみにしつつしっかり集中してひとつでも多くのことを学び吸収したいです。

 

それではまた次回。